583系を追ってみたび。今年で最後?たいちょ〜の一番熱い夏


この夢の3並びも今回で最後。。。(盛岡にて)



 「はつかり」用新型電車が投入されることになり、余剰となる485系電車に より臨時で活躍する583系にも終焉の時が訪れそうである。
と書いたのはGW(ゴールデンウィーク)の時であった。私個人としてはその時 が最後の追っかけ、後は上野で「はくつる」をというつもりであったのだが、 さる事情により、サロの室内写真が必要になった、しかも昼間の車内のという 注文までついた。いうまでもなく更新車のである。撮影するにはどうしても盛 岡まで出なければならない。ということは、この夏また盛岡まで出向く必要が できてしまったのである。
となれば、せっかくだから「はくつる」にも乗ってしまおう。(GWの時には 実は取れなかったのである。^^;)
取ったのは仕事の都合もあり下り最終日の13日、時と場合によっては583系 上野発のラストになるかもしれない列車でもある。今回はうまく取れた。で、 最近「きたぐに」では下段が多いので、583系らしさを味わうには久々の上段 をということで、5号車10番上段を取ることができた。

序:7月29日

今年は2年ぶりに天理TDL臨が走ることになったようで、夏臨のスタートを前 にわざわざ京都経由で青森の583が東海道を上京してくるのである。これ私に とって暑い夏のスタートを示すイベントにもなるのであった。
今回は藤沢〜大船間で撮影、サイドは全くの逆光、しかもドピーカンというき つい条件であったが、警笛一声、7連と短いものの583系が通過して行った、 今年はC62のツユ払いも兼ねて。。。

8月12日

8日から臨時「はくつる81号」が走り始めたのだが、うまく上野に出向く都合 がつかず、10日と1日置きで2度しか調べられなかった。結果は両方共N27。 これは「はくつる」運用が「はつかり」と分離されていることを示すものであ り、この運用に入っている編成は「はつかり」で撮れないことを物語っている のである。しかも、とあるページで見た9日の送り込み回送の先頭車の特徴か らもう1編成はN24であることが。。。これは奇しくもGWの時と同じ編成が使 われているのであった。ということは明日の編成は、、、さらにその上野寄り 先頭車のクハネ583-4は。。。GWの時にも追えなくて悔しい思いをした、マイ フォトジェニックな車なのであった。
明日のこの時間にはこの列車の乗客として北をめざすのだと思うとちょっと複雑 な心境になった。この撮影行の中で会えないはずの編成を見送った。

8月13日

所用を済ませて「はくつる81号」乗車までの間に、汗だくになってしまったこ ともあり、一度自宅に戻る。これが大誤算であった。この週末関東地方は大気 の状態がよろしくなく、極地的な大雨を招き、交通機関が寸断される状態が起 きていた。東北地方でも大雨があったらしく、一部夜行列車に遅れがでていた らしい。
そんなことはどうでもよい、この後の予定が全てオジャンになるような、そん な大雨が自宅近くで降っていた。^^;
たまたま持って出ていた(いや、最初はそのまま行く予定であった)撮影器材 は駅前のカメラ屋に預かってもらい、着替えと、置いておきたい荷物を持って 雨の中へ、、、途中排水が追い付かず、一面の海、、、水深10cm近くにまで なるような、、、そして、傘は役に立たず、下半身は水の中を歩いた様な状況 に陥っていた。結局全身替えるハメに。
さらに停電もあったらしく、さらに断水していたのであった。。。外には余る ほどの、いや、溢れているほど水があるのに。。。残り湯で洗髪と入浴を済ま すハメに。。。いやはや、こんなことはまったく初めてであった。
問題はこの雨、これでは駅まで出るのにまた濡れてしまうのではと危惧したが、 およそ15分ほどの間に雨は止み、水までもが嘘の様にひいてしまっていた。 先程のは夢だったかのように。。。
まぁ、それでも幸いである。また降り出さないうちに駅に急ぐ。それより心配 なのは列車が止ってないかである。上野に時間までにたどり着けなければおし まいなのであるから。
そんな心配はまったくの不要であったかの様に列車は動いていた。そして、予 定よりずいぶん早く上野着。ここで安心して夕食を取ることができた。

「はくつる81号」青森への旅立ち

夕食を済ませてからゆっくりと上野駅14番ホームに向かうと、さすがに583系 が危ういことを聞きつけてか、鳥端部分には10名ほどのカメラの列ができてい た。
こっちはやっと調査できる最後の未調査編成なので、まず13番ホームへ向かう。 「八甲田」がなくなって閑散としているホームにはカシオペア専用のラウンジが できていた。北斗星を多客期3本を残すために犠牲になった列車と、えらい差の つけようである。確かに金にはなるであろうが、決してこの時期利用客の少なく ない列車を廃止したツケはいずれ回ってくるものだと思わずにはいられない。
やがて「14(とうよん)番回8051M接近!」のアナウンスと共に、三条の光が 姿を現わす。不遜なストロボの光に迎えられて583系の入線である。編成は、、、 予想通りN24であった。
調査を済ませてギリギリに乗り込む、荷物を上段に上げる間もなく発車となった。 最近は「きたぐに」での利用が多く、固定客の慣れた雰囲気の漂う車内とは明ら かに違っていた。多くの客(かなり女性客も多い)が3段式にとまどっている様子 である。あちこちから「狭い」という声も聞こえる。確かに今となっては臨時で 走るだけの時代遅れの列車であることは否めない。しかし、かつては現役だった 列車で、定期でないことがこうも違ってくるとは思いもしなかった。
荷物に続いてこちらも上段に上がってみる。はしごをアクロバティックに登るの は大した苦労ではないけれど、さすがに上段の車内は狭かった。

また、確かに結構上であることを認識させる。クーラーが目の前に。。。

上段独特のハイデッカーを思わせる様なユレ、そして高所恐怖症の人には目も 眩む様な高さ。。。

これで閉所恐怖症だったら、耐えられないだろう。にしても狭い。以前こんなに 狭く感じなかったはずだがと考えて思い出した。前回上段に乗ったのはもう20年 以上も前の小学生(「明星」で新大阪まで)の時であった。体格の違いはいかん ともしがたいわけである。
結構苦労しながらも着替えて寝ることにする。逆に走行音が聞こえないのが上段 の特権?である。代わりにクーラーの送風音は結構聞こえるのだが。。。そういう 意味ではパン下でなくても中段がよいだろう。荷物が多くなければであるが。
黒磯を夢うつつにし、おはよう?放送で目を覚ました。オルゴールが西日本は鉄道 唱歌のままなのに対し、こっちは電子オルゴールに代わっているのに気付く。美し き青きドナウ?ともう1つもよく聞く曲ではある。それを使いわけていた。
野辺地を出てからこちらも着替えてようやく起き出す。浅虫温泉は通過である。や がて到着のアナウンスと共に終点青森に到着。583系の特徴の覗き窓は汚れてしまっ て役立たずであった。

駅に降り立つとまず撮影である。ホームを走り回って撮影する。


先頭は麗しのクハネ583-4


こちらは車番表記に特徴のあるクハネ583-9

青森では息つく間もなく朝食を確保して折り返す。念願の浅虫温泉付近での撮影の 為である。
7時45分発の566Mに乗って折り返す、701系の4連で所属は青森(運)であった。 しかも、一ノ関〜青森間をカバーしている様で、一ノ関〜沼宮内のワンマン設備も あった。
野内で下車、するとEF81に引かれた「はくつる」が通過する、カメラの準備もまま ならぬまま、列車は通過していった。
跨線橋を渡り、何もない駅前の道を左に折れる。ちょっとした峠道になっていて、 果たして線路際に出られるか不安になる。さらに行くと車中から見えた天然ガスプラ ントへ分岐する道に出る。そこから海をバックに線路がちらりと見えている。
線路に向かっておりていくと、かなりの急坂で、道はループを描き、その内側に丁度 よい草地がある。バックは海だがその手前にプラントと砂利の採掘場みたいなのがあっ て、すっきりとは行かない。手前側にも標識や草木があって、お世辞にもベストなポ ジションとは言い難い。しかし、車中からみた限りではこの先のトンネルの向こう側 によさそうなものはなかった(様に見えた)。
まだ通過予定時刻まで30分弱あるものの、もしよい場所が見つからないとここに戻っ てくるのは難しい。悩んだ末にここに落ち着けることにした。
天気は一応晴れてはいるものの、雲が流れていて、しかも少なくないので、結構曇る ことも多い。フィルムはこの為にRAPに換えているので、ASA100を上げることは (増感することを除いて)できない。(増感もRVPでの経験で癖が強くなる気がする のでできるだけしたくなかった)今回は一応流しに挑戦だったので、シャッター速度 を1/125(1/60か1/30がよかったのだがそこまで自信がなかった。なにせほとんど 初めてに近かったのだから。)にするので、いつも(1/500かせめて1/250)よりは 稼ぐことができるだろう。
待つことしばし、遠くから警笛の音が聞こえる。運悪く陰を落とす雲、その中を583 系が現われてファインダーの中を警笛と共に走り去ってトンネルに消えていった。自信 は全くない。

10分後には定期代走の10号がやってくる、しかし、下調べなしに動くには時間がなさ 過ぎる。思いとどまる、またしても一瞬の晴れ間の後にかき曇る空、10分前の再現の ごとく列車は通過していった。

さて移動である。野内に戻って1時間半近くあるのだからと、浅虫温泉を目指す。 (後で調べたら駅間5kmもあるのね。^^;)分岐点まで戻ってさらに道を進む。途中の 側溝をヘビは這っているは、道端にはトンボやらキイロスズメバチまで落ちている。^^; 途中の集落に出るとバス停がある。見ると5分後に丁度よく浅虫温泉駅行きのバスが ある。これで温泉につかる時間もできそうだと、ほくそえむ。
手前方より人が1名、見るからに同好者である。聞くとトンネルの上から狙ったとの こと。やっぱりこっちにもよい場所があったのだった。
さらにバスからロケハンをしているとトンネルのこっち側には車中からはわからない 見事なロケーションが広がる。後の祭だが、次もおそらくは、、、ないだろう。
バスで15分ほど走って浅虫温泉駅に到着。もし歩いていたら、ちょっときつかったか もしれない。バスがあったことに感謝である。観光案内で外湯を尋ねると、共同湯の はだか湯と、元湯そばの温泉を教えてくれた。はだか湯でひと風呂浴びる。一仕事? 終えての至福の瞬間である。
駅に戻り、「はつかり12号」で八戸へ。時間的、列車的には570Mで次の目的地、 苫米地まで行ってもよいのだが、それだと昼食タイムがなくなる。
駅右手のビルで(観光物産から土産物まで)買い込んで、570Mで苫米地へ、先頭に かぶりついてのロケハンをする。ちょっと小雨模様になってきたのが不安である。
いるいる、北高岩までの踏切近くのカーブに5名ほど、北高岩の先のカーブの始め の踏切沿いに2名ほど、しかし、私の今回の目的はアウトカーブの編成写真ではない、 カーブの内側のたんぼのあぜ道から狙う算段をつけて苫米地の駅に下りた。

駅を出てしばらく、見当をつけて住宅街?の中を歩いていく、通りすぎる列車の通過 音から、線路からそう離れていかないことを確認しながら歩いていく。地図もなく、 ガイドもない状況では、鼻が利くことが必要かもしれない。
迷うことなく予定通り目算をつけた場所に出ることができ、畔道の脇に三脚を立てて 時間まで昼食にする。
天気は晴れ、水分の補給も気になるほどであった。しかし、目当ての583系が過ぎる 時間に近づくにつれ、どんどん天候は悪化していく。それは困るのだが、自然現象に は太刀打ちできない。とにかく雨が降らないことだけを祈る。
待つこと1時間、走行音が聞こえてきたかと思った所へ、583系がその姿を現わした。
ここではビデオ撮影はなしで、標準+MF(置きピン)で1台、ズーム+AF(手持ち) で1台と2台構成で臨む。天候の悪化でAFのリバーサル(RAP)はスローシャッター が要求され、結果として若干の流し撮りとなった。

「はつかり131号」その1
「はつかり131号」その2

次(「はつかり134号」)まで時間があるので場所を移動する。ここから上りを狙うのは 不向きである。そのまま畔道をまっすぐ、線路に向かう様に直進して線路には近づくが、 カーブを逆に見る方向に移動した。
またしても約1時間ほどの待ちである。割りが合わない様でもあるが、それでも浅虫で2 本、ここで3本撮れるのだから文句は言えない。待っている間に蜂が出てきた。どうも 午後から活動が活発になるらしい。^^;こういうのも考えると撮影は午前中にというのも あるかもしれない。 遠くで(北高岩辺りでの)トンネル突入の為か、583系の警笛と走行音が聞こえてきた。 まだちょっと間があるが臨戦体制突入である。やがて先程とは逆側から583の姿が見える。 今度は先にこっちを切ってからレリーズを切り、そして結果次第のアップ撮影、結果は

「はつかり134号」その1
「はつかり134号」その2

であった。
リバーサルのフィルムを消化したので、AFもネガに交換、しかし、シャッター速度は1/125 固定の優先モードに変更した。 今度は同じ場所で「はつかり9号」を撮影、置きピンの1台のレリーズを切り忘れる。^^; ま、AFの方で撮影したのでよしとする。^^;これで本日の撮影は全て終了、引き上げである。
片付けを始める頃になって雨がポツリポツリと落ち始めてきた。運がよいと言うべきか。

苫米地からどちらに出るか迷ったが、なにせ接続の「はつかり」の間が悪い。せっかくだから 三沢まで(八戸から「はつかり」で)引き返し、十和田観光鉄道に挨拶して行くことにする。 おそらくは東急の3000系列(詳しいことは知りません^;)が余生を送っているのであろう 3800系を見、その台車が変わっているのに気付き、M車の増設された運転台の面白さを 味わってから、「はつかり20号」で帰宅の途についた。八戸から混んできたので、三沢 まで戻ったのは正解であった。
途中奥中山付近で先ほどの134号の回送と擦れ違う。


おそらくはこれが最後になるだろう583系「はつかり」との擦れ違い。

たぶん今度こそ本当に583系「はつかり」とは最後の別れになるだろう、583系よ元気で と祈った。
盛岡からは敢えて1本遅らせて「やまびこ22号」で東京へ、仙台から雨になったかと思い きや、東京でも雨上がりで、前日に続いて結構降ったらしい。それを考えると今回の撮影 は運がよかったと言えそうだ。

583系にはまだこれからもしばらく(青森延長開業まで?)会えそうだが、今回で583系 「はつかり」を訪ねる旅は終わるだろう。今回で最後と思いつつ、3度も訪ねることができ、 目的も果たす事ができたのだから、悔いはない。

                   (1999年7月29〜8月14日 記:たいちょ〜)



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